不当な金融商品取引について銀行との対応をします

 中小企業は融資を受ける関係で、地元の銀行支店や信用金庫との関係が深く、これらの金融機関との付き合いにはには神経をつかうところです。そのため地元の金融機関の支店長は勿論、担当者から購入を強くすすめられると、ついついお付き合いで色々な金融商品を購入してしまうことがあります。


 その中小企業にとって経済合理性のある意味のある金融商品であるならばともかく、中にはどうしてそのような金融商品を購入することになったのか、首をかしげたくなるような金融商品を購入しているケースも少なくありません。

 また、各種オプションを組み入れた仕組債など、金融商品の中には複雑な商品があり、そのような金融商品を金融機関が中小企業に対して購入を勧誘するにあたっては、その金融商品を購入するだけの経済的合理性があり、その金融商品の特性やリスクについて、十分な説明を具体的にすべき説明義務があります。また特にハイリスク商品の購入を勧誘する際には、それ以前に金融商品取引の経験があるなど、その取引をするだけの適合性があることが必要であると言えます。これらのことは金融機関による消費者との取引ではよく論じられるところですが、小規模な個人経営の企業などでは特に消費者取引に準じた検討が必要になるケースが少なくないのです。

 そのため、金融機関がこれらの説明義務や適合性原則に違反して金融商品を販売し、その違反を原因として中小企業側に損害が発生したときは、購入者側の過失があるときはその分は相殺されるとしても、金融機関にはそれ相当の責任が問われなければなりません。

 ところが、中小企業の多くは銀行から長短期の借入金をしていたり、貿易のLCのため、「銀行や信金相手に裁判して損害賠償請求するなどとんでもない。融資が止まってしまうから無理。」などとお考えの経営者もおいでです。

 しかし、今のキャッシュフローで本当に持ちこたえることはできますか?
もし中小企業が破産してしまうと銀行や信金への損害賠償請求が認められても、その賠償金は債権者への配当に回るだけです。中小企業が何とか持ちこたえられているうちに銀行や信金に対して積極的に損害賠償請求することを検討したほうがよいケースが少なくありません。

 ご不安を抱えつつも「裁判はちょっと・・・」とお考えの経営者には、裁判の前に、ADR(裁判外紛争解決機関)のご利用を強くお勧めしております。ADRを利用して穏和で簡便・迅速な解決も期待できます。また解決に至るまで現金の出血や解決損害金の発生をひとまず止めてキャッシュフローの回復を図る手立てもあり得ますので、是非ともご相談ください。